食べ物語り⑧ 「ビーフチュー」

2017年11月28日(火)

 

せっかくランチ本を買ったのでお食事に行くしかない。

当時は、佐賀県にあるちいさな温泉秘境の町に祖父と2人で住んでいた。

普段あまり会話はしない。

祖父と住むようになって半年以上が過ぎた。

最初は、慣れなかった。

中学、高校と部活で忙しく祖父の家に遊びに行くとしたらお正月くらいだった。

ほんとは一緒に住むなんて考えられなかった。

猫を飼っていたため、1日いるだけで息苦しかった。

私は猫アレルギー。

祖父が嫌いなわけではなかった。

小さい頃の思い出は、祖父と五並べ。

何回しても飽きない。たまに勝てるのがうれしいのだ。

 

最近の思い出は、いい思いをしていない。

 

入社してすぐ、歓迎会があったが私が帰りが遅くなるのを言っておらず、2次会の会場であるバーにまで連絡が来たことがあったのだ。

そこで、まずかったのが、事務長にまで連絡が入ってしまったことだ。

今回は、社内全体ではなく、理事長や事務長には内緒で、次長が開いて頂いた会であった。

いきなり、大恥をかいてしまった。

電話をもらうと祖父を怒鳴ってしまった。

祖父は悪くないのに、心配してくれただけなのに。

 

もうひとつある。

最近、やっと自分の車を持ったのだが、持っていない時期のことである。

福岡の実家に帰るには、祖父の車を借りていた。

月に2,3回は実家に帰っていた。

実家に帰る他にも理由があるのだがそれは、また今度。

シフト制だが、休みの日を月に2日は指定できた。

その日に、予定を入れていた。しかし、台風が接近していたのである。

風も強い。

祖父は、やめておけと言う。

予定がなければ止めていたと思う。

だが、こちらとしても譲れない。予定があるのだ。

祖父はどうしても行かせないつもりだった。

車のカギを隠していた。

場所は、わかりきっていた。

だから、強行突破した。

「そんなにお母さんのおっぱいが好きなんか!!!」

祖父を初めてこんなにも怒らせた。

そんな言葉が出るとは思わなかった。

自分も相当ブちぎれていた。

 

そのまま、実家に帰った。

 

早く自分の車が欲しいと思った。

 

用事を済ませ、祖父の家に帰った際、特にまたひどく怒られることはなかった。

父と母がうまく説明したようだった。

 

そんなこと出来事があったが、祖父は祖父だ。

一緒に外食していい思い出も作りたい。

祖父がいったことのないような場所がいいだろう。

普段食べないものがいいだろう。

場所は隣町。

遠くない。

祖父の車、黄緑色のエッセに乗っていく。

店の場所がとてもわかりづらく、店に入る道がとても狭い。

店は、民家そのものだった。

祖父もそうだろうが私自身も行ったことがないくらい、普通の家の中にカウンターがあるような内装だった。

オーナーは話し好きだった。

聞くと、築112年の家を改築したらしい。

飲み水、コーヒーの水もこだわっていて、近くの湧水をくんでいるらしい。

コーヒーは6種類のブレンド。らしい。

酸味、苦味が丁度良い。苦みがやや強め。

私はコーヒーに酸味があるのは好きでないため、ここのコーヒーはおいしかった。

 

ビーフシチューf:id:dssdaiju726:20210511222513j:plain

 

ビーフシチューは、とてもよく煮込んであった。

深みがあり、コクがあって美味だった。

肉はテール肉を使用しているため、身は少なかった。

骨付きで、手を使ってしゃぶりつく。

肉はとろけるようにやわらかく飲み込む前に口からなくなってしまった。

お手拭きがなく、ティッシュペーパーで拭く。

祖父も最初は

「こんな場所にあるとや?」

と不安がっていたが、ビーフシチューをぺろりと平らげた。

満足して頂けたようだ。

今度は、祖父とどこにいこうか。